新近江名所図会
新近江名所圖會 第427回 彦根城の庭園と御殿を訪ねて
江戸時代に彦根藩の居城であった彦根城には、「玄宮園(げんきゅうえん)」という美しい庭園が残っています。この庭園は、延宝5年(1677)に4代藩主井伊直興によって造園されたもので、国の名勝に指定されています。天主のある本丸から内堀を隔てた場所にあります。

庭園には、池の中に4つの中島やそれらをつなぐ9つの橋などが配されています。江戸時代に、藩主が風景を楽しみ、お客さんをおもてなしした場所でした。魚躍沼(ぎょやくしょう)と名づけられた大きな池には船を浮かべ舟遊びを楽しんでいたようです。また、魚躍沼のほとりには「鳳翔台(ほうしょうだい)」・「臨池閣(りんちかく)」といった茶室が設けられ、茶会や会食がもよおされていました。

おすすめポイント
「玄宮園」の西隣には、玄宮園と同時期につくられた「楽々園(らくらくえん)」という御殿があります。この御殿は本邸ではない下屋敷として建てられ、隠居した藩主やその家族が暮らしていました。建物は「御書院」・「地震の間」・「楽々の間」の3棟を残すのみですが、11代藩主直中のころには現在の約10倍もの建物があったそうです。現存する豪華な建物は、その外観を見学できます。

周辺のおすすめ情報
「玄宮園」・「楽々園」から内堀沿いを東側に15分ほど歩くと、表門橋に着きます。表門橋を渡ってすぐのところに「彦根城博物館」があります。この博物館は、藩主が居住した「表御殿(おもてごてん)」の跡地に建てられ、井伊家に伝わる美術工芸品や古文書などの資料が展示されています。また、「彦根城博物館」の中央には、明治11年(1878年)に一度解体され、彦根市内の井伊神社や護国神社に移されていた広さ約6m四方の能舞台が移築復元されています。現在は彦根市の文化財に指定されています。

また、「彦根城博物館」の冠木門前(かぶきもんまえ)は、平成19年(2007)に彦根城の築城400年を記念して誕生したキャラクターである「ひこにゃん」の立ち寄りポイントの一つになっています。「ひこにゃん」は、東京の世田谷にある井伊家の菩提寺である豪徳寺の縁起物である招き猫をモデルとしているので、白い猫の姿をしています。そして、「ひこにゃん」が身につけている赤い兜(かぶと)は、井伊家の代々の藩主が身に着けたものをモデルとしているそうです。彦根城を訪れたさいには、「ひこにゃん」にもぜひ会ってみてください。

アクセス
◎車→彦根ICから約10~15分。観光駐車場あり(8:30~18:00)
◎公共交通→JR彦根駅から徒歩15分。
※入場料→・彦根城(玄宮園を含む)、一般1000円・小中学生300円
・彦根城博物館、一般700円・小中学生350円
(田中咲子 / 調査課)